家庭教師に求められるスキルで、一番大切なのはどのような能力でしょうか。この問題を考えるには、家庭教師を依頼する側に立ってみると意外に簡単に理解することができます。まず家庭教師を必要とする児童生徒は、学校での勉強に何らかの理由でついていけない状態にあります。そして塾に通うという意欲も持てない。
その場合父兄が心配するのは、中学受験や高校受験でドロップアウトしてしまい、将来の可能性が狭まってしまうことです。そのため効率よく勉強を教えてくれて、定期試験でも良い点数がとれるようになり、志望校に受かる可能性が高くなり、更にできれば自ら学ぶという意欲を持たせてくれるような人材を探すことになります。家庭教師は一般に大学生のアルバイトが多いのですが、その場合、他の仕事を探すよりも時間給が良いという理由だけで志望するものです。そのため家庭教師になる側、依頼する側には、大きな乖離が発生するものと見るべきです。
勉強を教えるということは、児童生徒の可能性を広げるお手伝いをするということに他なりません。児童生徒が現在どのようなレベルにあり、勉強を教える前にどのようなケアを必要としているかを察知する洞察力が必要になります。それなくして知識を詰め込ませても、勉強へのアレルギーが増すだけです。この問題を回避するには、まず父兄の持つ問題意識と児童生徒が持つ問題意識を近づけていくことが必要です。
つまり勉強を教える以前の前公定が重要になってくるのです。その上で方針を決め、児童生徒の意欲や興味を勘案し、少しずつ前に進めていくしか方法はありません。